ここ最近、お店のPRとしてLINEやTwitterなどのSNSをよく目にする。
美容師さん個人でもアカウントを作って、施術風景やカットPRに活用している人が多い。
いくつかのアカウントを見ていて気付いたことがある。
それについて書いてみる。
ビフォーアフター
カット前・カット後の比較用のショートムービー(短い動画)「ビフォーアフター」を作って投稿している人も多い。
検索ワード:メンズ、カット、ショート、ビフォーアフターなど
もっさりヘアーの男性が、美容師に施術されて、イケメンに大変身!
何が良いって、カット前はどんより暗い表情の男性客が、カット&セットで大変身して表情が・:*:・(*´ ∀`*)・:*:・パァーッと明るくなるのがイイ!
照れながら笑顔になるお客さんを見ていると、こちらも心が温かくなる。
カットひとつで大きく変われるだけでなく、その人の心も明るく軽やかにできる。
そんな仕事に携われていることを誇りに思う。
言葉の使い方が鼻につく
変身前と変身後にインパクトを付けるためにの演出だろうけど、見ていて言葉の使い方がなんか気に障る。
演出…それとも本音なのだろうか……。
『1000円カットしか行ったことなかった』
この言い方、ちょっとヒドイね。
さも「1000円カットに行っているからダサくなっている」と取れるような言い方をされると、正直おもしろくない。
ってか、蔑まれてる感じがする、下に見られている。
1000円カット = 床屋(理容室) というイメージが強く、多くの1000円カットは床屋だ。
- 1000円カットだとダサくなる
- 美容室だとオシャレになる
こういう演出をする美容師さん、かなり多い。
同業者の視点
ここ最近の美容師さんのアカウントを見ていて、気付いたところがある。
これは同業者だから気付いた、と言えるだろう。
とくに、TikTokやInstagramのショートムービーで頻繁に見る。
タネあかし
いろんな人のショートムービーを見た結果、ほぼ全員【同じヘアースタイル】だった。
- 横(サイド)を刈り上げたツーブロック
- 耳上(もしくは耳にかかるくらい)に切りそろえる
- 前髪は目のあたり
違いといったら「顔が違う」くらいだ。
たまにパーマあてたり、髪色が違うことはあれど、基本的なヘアースタイルは「サイドをツーブロックにしたマッシュヘア」だ。
あとは、セットやアレンジで変化をつけて「違うヘアースタイル」を演出する。
いろんな美容師さんのアカウントを見ていても、このヘアースタイルばかり。
「なんで【同じヘアースタイル】にされてるのに気付かないんだ?」と不思議に思う。
ヘアセット
ビフォーアフターのアフター部分、ビシッと決まったヘアースタイルがとても似合っていて、お客さんの顔から笑みがこぼれる。
しかし、重要なのはソコではない。
これが、自宅で、自分で、プロがセットしたヘアースタイルを再現できるかが問題だ。
美容師さんという第三者が髪をセットするからビシッと格好良く決まる。
自分でやろうとすると、案外うまくいかないものだ。
まず、視野が狭くなる。
じぶんの「正面」しか見えないので、トップや後ろは見えにくい。
次に、手を頭上に上げなければいけないという肉体的疲労、これも結構しんどい。
整髪料の量・つけ方などで、思い通りにセットできないことが多々ある。
重要なのは、お客さんが自分でセットできるかどうかだ。
SNSの先にいる人(ターゲット)
こんなにも【同じヘアースタイル】ばかり投稿されているのに、なんで違うヘアースタイルと認識するのだろう、不思議に思う。
そこで考えた。
インスタ、TwitterなどのSNSという特徴を利用して、SNSユーザーをターゲットにしているから。
SNSユーザーは、見ているもの・見せられているものに対して何の疑問も持たず、他の動画と見比べることもなく、それを「正しいこと」と受け入れる人たち。
見ているものをそのまま受け入れる人たちがターゲットなのだ。
つまり、思考力の低い人たちに向けたツール、それがSNSだ。
逆を言えば、思考力の低い人を量産させるのがSNSだ。
価値を感じてもらえるからこそ存在できる
確かに、1990年のカリスマ美容師ブームによって美容師は花形職業になり、圧倒的な人気をいまも維持している。
人気俳優を担当しているとか、人気アイドルをカットしているとか、そういった特別感のある付加価値が付けば美容師さんの価値は跳ね上がり、同時に金額(指名料)も跳ね上がる。
逆に、床屋(理容室)は、お笑いのコントに使われたりする。
同業者だが、いつのまにやら美容師が「上」、理容師は「下」というカーストピラミッドが出来上がっている。
たかが髪型、されど髪型、その髪型ひとつで人生を変えることができる。
髪型ひとつで、心も体もリフレッシュして明るくなることができる。
けど、比較対象として同業者を使うのは…なんか解せない。
何かを上げる(褒める)ときに「比較対象を下げる(悪く言う)」というのは、褒める側の印象が悪くなるので避けた方がいいと思う。
最後に
人が「必要としてくれる」ことで、初めて存在できる。
それに「価値を感じている人」がいるから、存在しているのだ。
何に対して価値を感じて対価を支払うのかは、それこそ人それぞれ。
「カット」という施術は同じだが、理容室と美容室では料金がかなり異なる。
「美容師さん」にカットしてもらうことに価値を感じている人がいるから、カット料金+指名料という料金を支払い、日本全国から来店してくれる。
経済というのは、提供する商品やサービスに対して価値を感じてくれる人がいて初めて存在できる、と私は考えている。
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