歌舞伎の知識を知った上で鑑賞すると、この映画への理解がより深まる。

①女性の衣装の違いによる身分の表現
歌舞伎では、着物の柄や色味、髪型や化粧で、身分や気質・人柄を表現している。
男性が演じる女形がより女性らしく見えるための工夫や、帯の結び方が役柄によって異なるなど、細かな特徴も見どころの一つ。
国宝公式サイトより
②女形の成り立ち
歌舞伎は、1603年ごろに京都で成立した。
人々はこの新しい芸能に熱狂したが、遊女や女芸人による「女歌舞伎」が風俗を乱すとされ幕府が、男女が同じ舞台に立つことを禁止。
そこで台頭したのが少年たちが演じる若衆歌舞伎。
男性が女性を演じる「女形」が生まれた。
やがて若衆歌舞伎も風俗を乱すとして禁止され、前髪を剃り落とした成人男性が演じる野郎歌舞伎が生まれた。
女性らしさを見せる演技力が重視されるようになり技術が磨かれ、今日の「女形」へと発展していく。
国宝公式サイトより
③花道
客席の中を通る道。
主に役者が登場したり、退場したりする時に通る。
花道は演じられる場面に応じて、お城の廊下、道、川、岸、海などに見立てられる舞台である。
国宝公式サイトより
④隈取(くまどり)
江戸歌舞伎の荒事の中で、顔の血管や筋肉を誇張するために工夫されたもの。
種類は30とも100とも言われ、大きく紅系、藍系、代赭(茶色)系に分類できる。
赤(紅)は正義の味方、青(藍)は悪人や恨みを抱く人、茶は人間以外の妖怪や亡霊や鬼などの役に使われる。
国宝公式サイトより
⑤顔をする
歌舞伎では舞台化粧を役者が自分自身で行い、そして化粧をすることを「顔をする」と言う。
肌の色については、白は善人や高貴な人物などを示し、肌色は町人や小悪人、赤は悪人の手下というのが基本。
国宝公式サイトより
⑥大向う(おおむこう)
上映中に役者の屋号などの掛け声をかける人たちを「大向う」と呼ぶ。
もともとは舞台から見て一番後方の席を指す言葉だが、この辺りに声をかける人が集中してたため「大向うさん」と呼ばれるようになったという。
役者の屋号や「〇代目!」など名跡の代数を呼びかけることが多い。
国宝公式サイトより
⑦襲名
俳優の代々受け継がれてきた芸名を「名跡(みょうせき)」と呼ぶ。
その名跡を継ぐことを「襲名」という。
襲名披露の興行の際に、役者が舞台上から観客に向けて挨拶する「口上(こうじょう)」では、襲名する役者の隣に並ぶ役者たちが、その役者との思い出話を交えたりしながらお祝いの言葉を述べていく。
国宝公式サイトより
⑧物語の区分
歌舞伎は大きく時代物、世話物、舞踊の三つに分類される。
時代物は、江戸時代より以前を描いた公家や武家社会の物語。
世話物は、江戸時代の町人や庶民の世界を描いた物で、当時の風俗もわかる。
舞踊は、三味線音楽を伴奏とした舞いや踊り。
国宝公式サイトより
⑨現代でも使われる歌舞伎由来の言葉
現在の日常会話でも、歌舞伎から生まれた言葉が数多く定着している。
例えば「二枚目」は、江戸時代の劇場では、若手の優しい仕草や言葉遣いをする役者を劇場看板の二枚目あたりに書いたことから転じて、美男子を指す言葉として使われるようになったとされる。
他にも、小道具を遠くから操作する棒から「さしがね」、太鼓の音にあわせた大道具の仕掛けから「どんでん返し」、黒い着物をつけて見えないという約束の雑用係の「黒衣(くろご)」など、多くの言葉がある。
国宝公式サイトより
コメント