久しぶりの音楽映画。
原作は大人気マンガ「BLUE GIANT」、アニメ化ではなくアニメ映画化。
原作は読んだことないけど、音楽を聞きに映画館へ来た。
映画鑑賞ではなく音楽鑑賞が最大の目的。
これが鑑賞2時間前の私の思考。
鑑賞後の第一声は「久しぶりに質の良い音楽を聞いた!」
あらすじ
主人公はバスケ部に所属する宮本 大(みやもと だい)。
中学の時、友人に連れられて見に行ったジャズの生演奏に心打たれた。
サックス購入のためにアルバイトを始めるが、購入費はなかなか貯まらなかった。
それを知った兄・雅之がローンでサックスを購入し大にプレゼントする。
その後、たった独りでただがむしゃらにテナーサックスの練習をはじめる。
雨の日も猛暑の日も、毎日毎日サックスを吹く。
「絶対にオレは世界一のジャズプレイヤーになる」
登場人物
宮本 大(みやもと だい) 声:山田裕貴
玉田 俊二(たまだ しゅんじ) 声:岡山天音
沢辺 雪祈(さわべ ゆきのり) 声:間宮祥太朗
本物の声優さんのよう、違和感なく観られた。
初見でも楽しめる作品
初見でも充分楽しめる作品だ。
起承転結もわかりやすいし、人物ストーリーやバックグラウンド(背景や経緯)も要点よくまとめられて描かれているのでとても見やすい。
音楽を聞きに来た、そんな私にピッタリの映画。
こだわりぬいた「音」
機械を用いたデジタルな音の作り方ではなく、人と楽器が奏でるアナログな音の作り方。
しっかりと楽器の音が聞ける。
そして、この映画は「音」に異常にこだわった作品だ。
あらゆる音を作品に活かしている。
ちゃんとその場所で集音・録音しているのがわかる。
電車の線路のガード下、降りしきる雨が滴る音があんなにも鮮やかに聞こえるとは。。。
素晴らしい!
音の質感
音の質感によって、そこがどこなのかがよく分かる。
音の広がり方、反響の仕方、場所の広さなど、いろんな情報が音だけでありありと分かる。
周囲の音を「雑音」にしていない。
どの方向からどこへ車が走るのか、音だけでよくわかる。
行き交う人の雑踏、ざわめく街、それらを雑音にしない、本当に素晴らしい。
残念なのは、スピーカーから出るデジタルな音なので「空気の動き」がわからないところ。
楽器を演奏時の空気の流れや動き、音の圧力、これは生演奏でなければ体感できない。
音の圧力をデジタルで再現するのは不可能なのかも、残念。
成長する音
何がすごいって、音が成長しているところ!
素晴らしい!
1人の初心者が音楽と真剣に向き合うことで、音そのものが変化している。
これを「成長」以外に表現しようがない。
ドラムはいろんな状況によって簡単に音が変化してしまう。
スティックの形、素材、重さ、持ち方、握り方、握力、どこを支点に持つのか。
腕の振り下ろし方、腕のどこを支点にして振り下ろすのか、どの高さから振り下ろすのか。
ドラムのどこを叩くのか、叩く時の力加減、手首の使い方、スティックが跳ね返った時の抜き方、音の跳ね方、音の残し方など。
その日の気温や湿度でも音は変化する。
同じ音は2つと無い。
ピアニストの変化も素晴らしい。
譜面をなぞるステレオタイプのキレイな音からの脱却、これぞ突然変異。
自分を開放する
こういった芸術は、自身との対話がカギだ。
自身をどこまで「解放」できるのか。
スピリチュアルな感覚に近い、解放。
開放、それはトランス状態なのかもしれない。
解放後に爆発する、まさに爆弾。
自分自身が作り出すものは、自分を解放することで一気に世界が変化する。
同じ楽器でも演奏者が変われば音も変わる
スリーピースJAZZバンド以外に、海外JAZZアーティストが来日公演するシーンがある。
そこで分かる、演奏者の音の違い。
海外JAZZアーティストの音、サックス、ドラム。
明らかに音が違う、音の形が違う。
演奏者を使い渡さずに収録しているのだろう。
エンドロールをチェックしたけど、思いのほか流れるのが早くてわからなかった…。
※音は可視化できないものだが私には「聞こえる音の形」というイメージがある
例)丸い音、輪郭がハッキリしている音、淡くて柔らかい音、など
解放後のソロ演奏
スリーピースJAZZバンドの各ソロ、これは鳥肌だった。
全身全霊で奏でる音、それは魂の叫び。
これぞ自身の解放!
ジワジワと頭角を現したと思いきや一気に高みへと駆け上るドラムソロ。
美しい旋律の中に自己解放してからの爆発は音の洪水、ピアノソロ。
いうまでもなく、狂人で強靭な音が堰を切ったように流れ出て止まることを知らない、サックスソロ。
これらが3つ合わさることで全く違った世界観を醸し出す、相乗効果、というより化学反応。
アッパレ!
最後に
原作マンガは全10巻。
部分的に抜粋した構成ではあるが、これだけの物語を2時間でまとめたのは本当に凄い。
原作ファンからは賛否両論らしい、それは各自に思い入れのあるシーンや心に響いたセリフがあるからだ。
ファン心理としては「こうだったらいいのに」や「なぜこれにしたのか」が出てくる、思い入れと愛情ゆえの意見だろう。
原作の映画化、あらゆる人に受け入れられるのは難しいのかもしれない。
そして、個人的に1番悔やまれるのが、環境。
これ、ドルビーアトモスならどれほど良かったか、と…。
デジタルな音なので、演奏による空気の振動などは感じられにくいが、それでも肌で感じられる音になのだろう。
悔しい、なぜ栃木県に特殊シアターが無いんだー!
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