数年前のある日のこと、SNSで「とある読み切り漫画」が話題になった。
マンガアプリで配信しており、のちに単行本化。
私は配信ではなく単行本で読んだ。
少年ジャンプ+
2021年7月19日より「少年ジャンプ+」にて配信開始。
瞬く間に「この漫画すげぇ!」と多くの反響を呼んだ。
配信開始から30分でTwitter上のトレンド2位に。
同日の午前10時過ぎにはトレンド1位。
閲覧数は一晩で120万を超え、24時間で250万を突破し、2日弱で400万に到達した。
2021年9月3日に単行本化された。
あらすじ
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。
クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野。
ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生:京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。
以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野。
一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。
劇場アニメ版
2024年6月28日に劇場アニメ映画版が公開。
公開前にフライヤー(チラシ)をもらったので映画化は知っていた。
すでに漫画を読んで知っているし、内容もわかっているので、鑑賞に意欲的ではなかった。
特別料金であること、上映時間が短いこと、これらから「観る」ことに躊躇していた。
鑑賞料金
子供・学生・大人などどの年齢層でも1700円均一。
サービスデー、ポイント鑑賞、優待券などの一切が使用不可。
上映時間
上映時間:58分。
上映映画館
お客さんとの会話
昔から通ってくれている常連さんとの会話の中で、この映画が話題に上がった。
「ルックバック、めっちゃ良かったですよ!」
常連さんは、細かい設定や伏線について教えてくれた。
1ページ目
最初のページ、担任の先生が「学年新聞」を配布するシーン。
先生の背後にある黒板には【 Don’t 】と書かれている。
142ページ目
一番最後のページ、漫画を描く藤野の部屋。
部屋の左下、乱雑に置かれた書籍。
その表紙に【 in Anger 】の文字。
作品のタイトル「ルックバック」を組み合わせると、ある曲のタイトルになる。
Don’t Look Back in Anger
【 Don’t Look Back in Anger 】オアシスの楽曲。
1995年のアルバム「モーニング・グローリー」で発表され、翌1996年にシングル化。
常連さんの超訳
常連さんが話してくれた超訳。
常連さんは「 Don’t Look Back in Anger を訳してもピンと来なかったので自分なりに超訳した」と教えてくれた。
この超訳があったからこそ、感情移入できたし、深く理解することができた。
作品公開日
2021年7月19日:少年ジャンプ+にて公開。
作品を読んだことある人は、ある部分について気付くと思う。
本作の公開から2年と1日前のことを。
7月18日に意味を持ってしまった人への作品でもあるかもしれない、と常連さんは語った。
刺さったところ
個人的に刺さったところをいくつか書き出す。
映像化
漫画に色と動きを付け加えると、こんなにも生き生きするのかと感動した。
「ものがたり」に生命が宿った気がした。
絵では読み取れなかったものも、映像になると読み取れる。
4コマ漫画も、こんなにも面白かったのかと驚いた。
京本のセリフ
最初の方。
卒業証書を届けに行くシーン。
裸足で飛び出す京本。
憧れの「藤野先生」を目の前に、ガッチガチに固まるも、勇気を振り絞って言う。
【 藤野先生は漫画の天才です! 】
常連さんの超訳を見ていたからこそ、このセリフがグッサリと突き刺さった。
2人が初めて対面するという、なんてことないシーン。
ある種、ただのキッカケというか、さわりのシーンだけど、めっちゃ泣いた。
泣くシーンじゃないのに、めっちゃ泣いた。
声優
2人の声優さん、若手女優。
なんとなくシロウト感があって、それがとても良くて実にリアルだった。
外=怖い
京本は、藤野が居たからこそ、安心して外に出られた。
藤野が京本の手を引いて「一緒に行こう」「怖くないよ」「さあおいで」、言葉にはしないけど藤野の背中が語っている。
京本は、ずっと怖かった「部屋の外」に出られた。
京本は、藤野が居れば無敵になれた。
2人でひとつ、魂の片割れ、そんな存在になっていった。
前を歩く藤野
いつでも「自分の前」をズンズンと歩く藤野。
いまの自分が、大好きな人の足枷になりたくないし、なってはいけないと思うから。
今よりももっとチカラをつけて、藤野の助けになりたい、と思った。
だから、離れることを決意した。
あこがれ
京本にとって藤野は、憧れであり、自分には無いものを持つ偉大な存在。
目指すべき目標であり、道標。
それは出会った小学生のときから変わらない。
背中
背中で始まり、背中で終わる。
この作品において「背中」はとても重要な意味を持つ。
「なんで描いてるの?」
終盤の。
【 じゃあ、藤野ちゃんはなんで描いてるの? 】
2人で漫画を描いていた回想シーンが色褪せることなく蘇る。
まるで、昨日のことのように。
藤野は京本のために描いていたんだなぁ…。
京本が「読みたい!」と待っているからなんだなぁ…。
昔も、いまも、これからも、京本はずっと待っているんだなぁ…。
なんてしみじみ想うと激しく泣いた。
最後に
ああ、すごく良い作品だった。
鑑賞後は、ひたすら【 Don’t Look Back in Anger 】を聞いた。
メロディと声が、何度も泣かせてくる。
常連さんが話してくれなかったら、この感動を味わえなかった。
心から感謝してます!
本当にありがとう!
コメント