映画「怪物」を観た感想<一部ネタバレあり>

映画鑑賞の感想文

映画の本編上映前に今後上映される作品の「予告映像」が流れる。

何度も観たこの予告、全体的に暗い映像と、あのセリフ。

予告映像から感じたのは、ホラー(恐怖)とか、オカルト(超常現象)とか、サスペンス(謎解き)とか、そういったジャンルの恐怖感。

ちょっと苦手なジャンルなので避けていた。

ある日、映画好きの友人から「この映画について語りたい、とくに最後のシーンについて意見が聞きたい」と連絡が来た。

友人がオススメする映画、観るっきゃない!

あらすじ

大きな湖のある郊外の町。

息子を愛するシングルマザー、生徒思いの学校教師、そして無邪気な子供たち。

それは、よくある子供同士のケンカに見えた。

しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事おおごとになっていく。

そしてある嵐の朝、子供たちは忽然と姿を消した―。

映画『怪物』 公式サイト
監督・是枝裕和 × 脚本・坂元裕二 日本屈指の映像作家&ストーリーテラー、夢のコラボレーション実現! 映画『怪物』 2024年2月21日Blu-ray&DVD発売決定!

キャスト

麦野 早織(むぎの さおり) 安藤 サクラ 湊の母でシングルマザー
麦野 湊(むぎの みなと) 黒川 想矢 早織の息子(小学5年生)
保利 道敏(ほり みちとし) 永山 瑛太 湊の担任教師
星川 依里(ほしかわ より) 柊木 陽太 港の同級生(小学5年生)
鈴村 広奈(すずむら ひろな) 高畑 充希 保利の恋人
正田 文昭(しょうだ ふみあき) 角田 晃広 湊・依里が通う小学校の教頭
伏見 真木子(ふしみ まきこ) 田中 裕子 小学校の校長
星川 清高(ほしかわ きよたか) 中村 獅童 依里の父でシングルファーザー

怪物さがし

映画のタイトルが「怪物」。

予告映像「怪物だーれだ?」。

この2つから、オカルト的なホラー的な怪物(人間を含む)が出てきて、怪物が街の人たちに危害を加えるストーリー、と思い込んでいた。

本編が始まってから、自分が無意識に「怪物さがし」していることに気付いた。

伏線と羅生門構造

長野県諏訪市、大きな諏訪湖を望むこの町である夜、雑居ビルで火災が発生する。

火元はビル内のテナント「ガールズバー」。

この火災をキッカケに、いろんな人の生活が浮き彫りになる。

すべての要素が伏線となっている。

見落としそうな些細ささいなことが絡み合うことで、それぞれが「」ではなく「同時進行」を表現している。

そして「ビル火災」という1つの出来事を取り巻く日々を、3つの視点から構成している。

Yahoo!ニュース
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視点1:麦野 早織(シングルマザー)

最初に母親を持ってくるあたりに、作り手の意図を感じる。

観客に誰が怪物なのかをわかりやすく明確に作り上げて見せている。

どのように見せれば、観客は深く感情移入してくれるのか。

感情移入から同情へと移行させている。

この構成は素晴らしい。

人間に『豚の脳』を移植したら、それは人間なのか?

人間に『豚の脳』を移植したら、それは人間なのか?

クラス担任の保利先生が話してくれた、と湊は言う。

強烈なセリフ、これを小学5年生の湊が言うことに驚く。

私なりに考えてみる。

何を持って人間なのか、による。

遺伝子的な見解なのか、見た目なのか、思考能力なのか、脳という臓器の一部分が違えば異生物になるのか。

パッと見、人間のようだが、実は人間ではない、それが「豚の脳」なのかもしれない。

「豚の脳」この映画において、とても意味があるセリフ。

息子:湊の異変

自宅にて、湊が入浴中、脱衣所から母:早織が湊に話しかける。

ふと、足元を見る早織、そこには髪の毛が落ちている

何があったのかと問うが、湊は何でもないと言う。

異変はさらに続く。

湊のスニーカーの片方が無くなる

湊の水筒から砂利や泥水が出てくる

ここまで物証が揃えば「学校で何かがあった」と確信できる。

ある日、なかなか帰宅しない湊を捜索すると、廃線になった鉄道跡の真っ暗なトンネルにいて、スマホのライトをかざしながら「怪物、だーれだ」と言い続けていた。

無事に保護して帰宅途中の車内、早織は湊の身を案じて優しい言葉を言うと突然、湊は走行中の車から車外へと飛び出す。

「死を選択するほどつらい目にあっている」と早織は悲観した。

湊の異変は「学校生活」に原因があるのではと感じた早織は湊に問うと「保利先生に自分の脳は豚の脳だと言われた」と打ち明ける。

「私はイジメを受けている」このことを親に告げるのは、相当の勇気がいること。

親が子を守りたいと思う子も親を守りたいと思っている

イジメを受けている子だなんてきっと親が悲しむ、親を悲しませたくない、そう思ってひたすら耐える子供が多い。

親を想う健気な子の愛情、そう思いながら観ていた。

学校へ乗り込む早織

早織は湊の通う小学校に乗り込み、校長の伏見真木子と面会する。

息子が保利先生から酷い言葉を言われ暴力を受けている」と早織が訴えるも、どこか上の空の校長。

面会中になぜか退席する校長、代わりに応対した教頭の正田文昭は「校長は先日孫を事故で亡くしたばかりだ」と説明する。

翌日も学校へ行く早織、今度は保利・伏見・正田・学年主任が揃い、保利は「私の指導が適切に伝わらず誤解を招いた」と謝罪するが、明らかにやる気のない態度丸出し。

さらに保利は「シングルマザーは思い込みが激しい」などと余計なことを言い出し、早織の神経を逆なでさせて事を荒立てる。

事なかれ主義の校長&正田は、保利にふたたび無理やり謝罪させてその場を穏便に済ませようとするが、早織は食って掛かる。

母親が我が子に向ける、熱く一途いちずな愛情。

美しく、健気けなげで、純粋な、熱い愛。

子の成長を見守り、子の幸せを願い、子を守り、子に寄り添う。

子を守るためなら、身を挺して相手に牙をむける。

子を傷付ける者に、勇敢に立ち向かい、闘う。

少しずつ見えてくる現状

再び学校に乗り込む早織、保利を見つけて詰め寄ると意外な言葉が返ってくる。

麦野(湊)は同じクラスの星川依里をいじめている

家に凶器を隠し持っているのではないか

麦野(湊)は動物を虐待している

憤慨する早織は湊の部屋を捜索する、そこには紙に包まれた「着火ライター」があった。

このあたりから観客は少しずつ「思っていたことと何かが違う」と感じ始めるだろう。

依里の自宅玄関に「湊の無くしたはずの片方のスニーカー」がある。

学校を休んでいる湊に手紙を書く依里、文字を間違えて書いているのを見つけた早織はそれを指摘する。

依里の腕にはアザがいくつかある

依里は「決して湊からいじめを受けたことはない湊はいつも保利から暴力を振るわれているクラスの誰もが保利を恐れて証言しない」と言う。

数日後、学校には保護者が集められ、保利は自分が湊に暴力を振るったことを認めて謝罪し、この件は地元メディアに大々的に報じられる。

日本列島に巨大な台風が接近し町は大荒れ、湊は突然「自分は何に生まれ変わるんだろうか」と早織に問いかける。

その翌朝、湊は忽然と自宅から姿を消す

外からは保利の「麦野!!!」と叫び声が聞こえる、そのとき早織は窓の外を凝視している。

観客は「最悪の結果」を想像することだろう。

視点2:保利 道敏(クラス担任)

保利が新任としてこの学校に赴任してきた頃にさかのぼる。

子供たちと真摯に向き合う姿が映し出される。

私生活では恋人:鈴村広奈との交際も順調、広奈は「『男の大丈夫』と女の『また今度』は信用しちゃダメ」と笑いながら言う。

ある日、湊が教室で同級生たちの体操服袋を投げ出し暴れている、保利は制止しようとした際に偶然にも保利の手が湊の鼻に当たってしまい流血

乗り込んできた早織に保利は誤解を解こうとするも、事なかれ主義の校長たちに抑圧される。

ここで観客は「あれ?どういうことだ?」とパニックになるだろう。

出来事に対して視点が変われば、とらえ方も意味も変わる。

家庭訪問

依里がいじめを受けているのを目撃した保利は、依里の自宅を訪問する。

登場したのは、片手に缶酎ハイ(ロング缶)を持つ父親:清高。

清高は「あいつ(依里)は頭に豚の脳が入った化け物」と言い、自分は元の人間に戻してやろうとしているのだと語る。

観客は「どういうこと??」とたくさんの疑問符が浮かんだことだろう。

暴力事件

子供たちの証言も相まって、観客は何が起きているのかが分からなくなる。

自宅にはマスコミが押し寄せ、恋人にも嫌われて去ってしまう。

児童への暴力事件」で学校側は湊の件で保利に謝罪させることで幕引きを図り、保利は真相を語る機会すら与えられず謝罪させられ退職する。

辞任(じにん) 今まで就いていた任務・職務を自分の意志で辞めること
退任(たいにん) 任務を退くが職場には残る
辞職(じしょく) 今まで就いていた職を自分の意志で辞めること
退職(たいしょく) 現職を退き職場を去る

納得できない保利は後日学校へ行き、湊になぜウソをついたのか迫るが、逃げる湊は階段から転落。

すべてに絶望した保利は屋上へ行き、町を見下ろしていると、どこからかヘタクソな楽器の音が聞こえてくる。

アパートに戻って荷物を整理していた保利は、依里の作文を見つけて読み始めると、文字を間違っている箇所があることに気付く。

その箇所を赤鉛筆で囲み、正しい文字に直していると…。

ここで観客は何かに気付き、息を飲むことだろう。

麦野は間違っていない

先生が間違っていた

麦野は間違っていない

なにもおかしくないんだよ

知る前と、知った後では、見方と意味が変わる。

捜索

「麦野!」と叫ぶ保利、それに気付いた早織が家の外へ出る。

自宅に湊が居ない、早織と保利は湊を探しに行く。

気になるセリフ

ときどき、妙に引っかかるセリフがある。

早織のときもそうだが「男性性と女性性を感じさせるセリフ」が妙に引っかかる。

男らしくない」とか、「普通に結婚して子供を持って幸せになる」とか。

これがこの映画において重要な役割を密かに持っている。

視点3:麦野 湊・早川 依里

依里は、おっとり過ぎな性格が災いし、同級生から宇宙人呼ばわりされてバカにされていた。

同級生たちは、ドッキリを仕掛けたり、ふざけ合っているだけ、イジメている意識もなく、ただ楽しくからかって遊んでいる。

第三者からすれば、遊びではなくイジメられている依里。

湊は同級生から隠れるように、こっそりと依里を助けていた。

音楽室で依里と湊は、現状について話していると、依里が湊の髪をなでる

その日の夜、湊は自宅で…。

このあたりから、それぞれに起きた「小さなこと」が「伏線」であったことに気付く。

点と点が、線になっていく。

片方のスニーカー

依里はいつも靴のかかとを踏んで歩いている。

同級生たちに靴を隠されてしまい、片足だけ靴を履いて歩いている。

そこへ湊が現れ、片方のスニーカーへとつながる

廃線跡

依里は湊を連れて、線路とトンネル廃墟の奥へ進む。

そこには使われていない電車の車両があり、2人の秘密基地になる。

車両の奥には、鉄橋への道を塞ぐバリケードがあり、先へは進めなくなっている。

この秘密基地は、誰にも邪魔されない2人だけの安全な場所となった。

学校が終わると廃線跡に向かい、電車の中で自分たちが描いた絵を使って「怪物、だーれだ」とインディアンポーカーのようなゲームをして遊ぶ。

優しくて穏やかな時間が2人を包み込んでいる。

わからなかった箇所

「お父さんは女性と2人で出掛けて、出先で事故死した。」のあとの湊のセリフ、何言ってるかわからなかった。

依里は湊に、学校の裏庭で死んでいる猫を見せる。

猫を埋めるため、2人は廃線路の電車のそばに行き、猫に枯葉をのせ、依里が持っていた着火ライターで火をつける。

山が火事になるかもしれない、そう思った湊は消火活動をする。

湊は、依里から着火ライターを取り上げる

数日前に起きた雑居ビル火災の話になり、湊は自宅の2階から見ていたと言うと…。

暴れる湊

教室では、いつものように依里をからかう同級生たち、突然暴れ始める湊

湊の行動の真意は…。

異変と傷

いつものように秘密基地で遊んでいると、依里と湊の体が近付いて、湊の体が反応してしまう

依里は「自分もときどきそうなる」と言うが、パニックになった湊は依里を突き飛ばしてしまう

翌日、どう接していいかわからない湊は、依里を見ないようにしている。

同級生たちが依里の机にぶちまけて遊んでいる、それを目撃する湊は動けないでいる。

依里は雑巾で机を拭くと、その雑巾を奪って投げ合って遊び始める同級生たち。

湊は雑巾を依里に渡すが、同級生たちに「ラブラブだ!」とからかわれ、カッとなって依里から雑巾を取り上げようとして取っ組み合いになり耳を切ってしまう

車から飛び降りる湊

湊は依里を秘密基地の前のトンネルで待っていたが、来たのは早織だった。

湊は車のなかで「早織が考える普通の幸せ」を聞いていると、依里からの着信があり電話に出たくて車外に飛び出てしまう。

音楽室

解雇された保利に追いかけられて逃げる湊は音楽室に逃げ込むと、そこには校長がいた。

湊は「好きな子がいるけど正直に言えない」と言うと、校長は「私もウソをついている」と返す。

言えないことは楽器を拭いて吐き出す、校長は湊に言うと2人で不器用に管楽器を吹く。

校長は湊に「誰かでないと手に入らないものではなく、誰にでも手に入るものが幸せだ」と教える。

このセリフ、あとあと考えてやっと理解できた。

誰かでないと」これは本当の自分ではない偽りの自分」でなければ幸せは手に入らないのではない

誰にでも」これはどんな自分」であっても手に入るものが幸せだ

転校

ある日、依里は湊に「転校する」と告げる、祖母の家に預けられることが決まったのだ。

湊は学校が終わってから依里の自宅へ行くと、依里が出てきて「おばあちゃん家の近くに好きな女の子がいるんだ、ばいばい」と言って中へ戻る。

呆然とする湊。

すると、玄関から依里が飛び出してきて「本当は好きな女の子なんていない!」と叫び、清高に連れ戻される。

この叫びが意味することを知った観客は、どういう表情をしているだろう。

台風の日

明け方、湊は依里の家へ行き、中に入ると、依里は風呂場でグッタリしていた。

どうにか依里を助け出し、家を飛び出す。

2人は台風の中、秘密基地へ向かう。

早織と保利の捜索

早織と保利は、湊を探しにあちこち車で走り回る。

早織はあの場所へと車を走らせているが、土砂崩れによって通行止めにされていた。

早織は誘導員の制止を振り切って、森の中へと走る。

トンネルを抜け、さらに奥へと進むと、土砂に埋まってい横転している車両を発見。

湊の名前を必死に叫び、車両の窓の泥を手で排除するも、大雨と土砂のせいで排除できない。

やっとの思いでドアを開けると、そこには子供用のレインコートがあった。

雨上がり

車両の中にいる湊と依里、周囲が静かになったのを知り外に出る。

空は曇天どんてん、雨は上がり、台風は去ったようだ。

水量の減った水路をってさらに奥へ進むと、草むらが広がる、とても楽しそうに走る2人。

透き通った青空が、2人をキラキラと照らしている。

見えない

人の生きづらさを表現させたらものすごく上手い人。

しかもそれが普通の日常という恐怖。

「見えていない」を表現させたらピカイチだ。

以前地上波で見た「万引き家族」、内容を全く理解できなかったが、この「怪物」を観たことにより改めて「万引き家族」を思い返すと、こういった日常にある「見えていない」を描いていたのだと気付く。

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大きな湖

諏訪湖という大きな湖。

山々に囲まれ、あらゆる生命を支え、自然あふれる大きな湖の周辺に街がある。

日中は、太陽の光をキラキラと反射させて輝いている。

夜になると自然は声を潜め、山から見下ろすそれはまるで巨大な空洞のよう。

巨大な空洞、不思議な恐怖を感じる

人は見たいように見ている

人は見たいように見ている、思うように思っている。

どこにでもある、けど気付かない、容易に見つけられるけど、見えていない。

見えてしまうと、見えなかった頃には戻れない。

真実と事実

誰かにとって真実だとしても、別の人からすると真実ではなく単なる事実。

正義の反対は悪ではない、まだ別の正義。

人の数だけ現実がある。

同じ時間、同じ出来事を経験したとしても、全く別の現実。

人は見たいように見るし、思いたいように思う。

自分の現実以外は間違いであり、正しくない。

経験が現実を作る。

経験は人の数だけある、現実も人の数だけある。

真実(しんじつ) 人によって見え方や捉え方が変わるもの
事実(じじつ) 実際に起こった客観的な出来事

環境、状況、立場、関係性、見られ方、そして自分自身を理解しているのは他でもない。

あの2人だけだ。

怪物とは

怪物とは何か。

誰にとっての、怪物なのか。

誰かが怪物であり、誰かが悪なのか。

善悪二元論による創作物があふれているので、どちらかが悪でどちらかが善であると決めがちなところがある。

そうではない。

誰かが怪物ではないし、誰かが特別に悪いというわけでもない。

自分以外の他人との違い。

間違いではない、ただの違い。

怪物は、誰の中にでもる。

気付いたところ(音)

2ヶ所、音が変なところがあった。

どんな音なのか、それを説明するのは難しい、感覚を言葉にして説明するのはなんとも困難…。

室内の空気の圧力が変化するというか、空気の流れが変化するというか、なんとも表現しにくい音がした。

密閉された部屋、すべての窓やドアが閉まっている部屋、その中で少しだけ窓を開けると空気の流れが変わる、その時の音。

これも意図的なものなのか?

ラストシーン

ラストシーンは、これまたここ最近よくある構成。

観客に解釈を委ねる」。

台風が落ち着き、秘密基地から出てくる2人。

先ほどまでの大雨は無くなり、土砂も無くなり、水路を進んで森の奥へと歩く。

台風一過、文字通りの晴れた空、葉の上の雨粒に光が当たってキラキラと輝いている。

緑の中を走る2人。

鉄橋への道を塞ぐバリケードが無くなっている。

捜索してた早織と保利、土砂に埋もれる車両には子供用のレインコート。

場面は変わって、車両から出てくる湊と依里、草むらを進むと天気が曇天から晴天へ変わっている。

これらのことから、観客は「ある推測」をする、無意識に。

どれを選ぶのか、それは観客次第。

最後に

ものすごい量の情報が詰まった作品だった。

一度の鑑賞では、とてもじゃないけど理解できない。

セリフ、行動、しぐさ、目線、持ち物、立ち位置など、すべての些細なことが情報を持っている。

大変良い作品を鑑賞できたことを嬉しく思う。

これもひとえに友人のおかげ、心から感謝、本当にありがとう。

誰が悪いわけではない。

みんな「生きている」だけ。

それぞれが思うように生きているだけなんだ。

しかし、それらがうまく交わらない。

ただそれだけ。

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