映画館でこのフライヤーを目にした時から気になっていた。
「英国のシンドラー」と称されるニコラス・ウィントンの半生を、アンソニー・ホプキンス主演で実話映画化。
あらすじ
時は1938年、第2次世界大戦直前。
オーストリアとチェコスロバキアのズデーデン地方を占領したナチスから逃れてきた大勢のユダヤ人難民が、プラハで住居も十分な食料もない悲惨な生活を送っていた。
そんな悲惨な状況を観たニコラス・ウィントン。
子供たちだけでもイギリスに避難させようと、同志たちと里親探しと資金集めに奔走する。
ナチスの侵攻が迫るなか、ニコラスたちは次々と子供たちをイギリス行きの列車に乗せる。
だが、ついに開戦の日が訪れた。
それから50年、ニコラスは救出できなかった子供たちのことが忘れられず、自分を責め続けていた。
そんな彼にBBCからTV番組「 THAT’S LIFE 」の収録に参加してほしいと連絡が入る。
キャスト
左から、役名、俳優名、人物像。
ニコラス・ウィントン | アンソニー・ホプキンス | 晩年は趣味の水泳と音楽を楽しみに穏やかに暮らす。 |
青年時代のニコラス | ジョニー・フリン | イギリスで株の仲介人をしている。悲惨な現状を目の当たりにして奮闘する。 |
グレーテ・ウィントン | レナ・オリン | ニコラスを支える優しい妻。 |
ドリーン・ワリナー | ロモーラ・ガライ | 女性、イギリス難民委員会児童課の仲間。 |
ハナ・ヘイドゥコヴァ | ジュリアーナ・モスカ | 女性、イギリス難民委員会児童課の仲間。 |
トレヴァー・チャドウィック | アレックス・シャープ | 男性、イギリス難民委員会児童課の仲間。 |
ベティ・マクスウェル | マルト・ケラー | メディア王の妻。 |
マーティン・ブレイク | ジョナサン・プライス | ニコラスの友人、難民支援の仲間。 |
バベット・ウィントン | ヘレナ・ボナム・カーター | ニコラスの母。 |
上映映画館
ドイツ軍の進み
ヒトラー率いるナチスがオーストリアを占領。
その後、チェコスロバキアのズデーデン地方も要求した。
オーストリア
↓
チェコスロバキア:ズデーデン地方
イギリス・フランス・イタリアの指導者たちが「戦争を避けるため」にナチスの要求に合意。
ナチスの迫害を恐れた何万人ものユダヤ人がプラハへと逃れた。
ユダヤ人難民
イギリスのロンドンで株の仲介人をしているニコラスは、友人のマーティンから「プラハの難民」の話を聞く。
母の心配を跳ね除け、プラハへと向かうニコラス。
プラハの難民キャンプでは、大勢の難民が劣悪な環境で生活をしており、多くの子供・幼児が寒さと飢えに震えている。
惨状を目の当たりにしたニコラスは、せめて子供たちだけでも助けたいと動き出す。
極秘の活動
プラハでニコラスたちの活動がナチスに見つかれば、どうなるかは目に見えている。
もし知られたら、ニコラスたちだけでなく多くの協力者たちも殺害されてしまう。
危険を冒してでも子供たちを救いたい、という熱い想いがニコラスたちを動かしている。
難航する受け入れ
移民局が提示した受け入れの条件(子供1人につき)。
- ビザ
- 保証金50ポンド
- 医療証明書
- 里親
当時とは情勢も物価も異なるし調べても出てこなかったので、2024年現在の相場で計算してみる。
- 1イギリスポンド → 206.146円
- 50イギリスポンド → 10,306.561円
児童課を立ち上げる
ドリーン、ハナ、トレヴァー、チャドウィック、そしてニコラス。
多くの子供たちの救出と作業効率をスムーズにするため「児童課」を立ち上げる。
ロンドンで
ニコラスは、資金集めのためにロンドンへ戻る。
大勢の難民の子供が劣悪な環境下で苦しんでいる現状を多くの人に知ってもらうために、タイムズ紙に投書。
母バベットとマーティンと共に、里親探しと寄付のお願いに奔走する。
しばらくして、待望の列車がプラハからリバプールに到着する。
駅のプラットホームで
プラハで列車が出発するときは、なんとも言えない感情が込み上げてくる。
『大丈夫だよ』
『また会おうね』
『向こうで待っていてね』
『すぐに(イギリスに)行くからね』
希望の言葉がたくさん飛び交う。
未来への希望を願う言葉。
それがまた泣けてくる。
2024年を生きる私たちは、結末を知っている。
ユダヤ人たちがどうなるのかという結末を知っている。
だからこそ、再会を願う彼らの希望の言葉が痛切に刺さる。
イギリス:BBC (1988年)
1988年、BBCの人気番組「 THAT’S LIFE 」でニコラスのことが取り上げられる。
このシーンで大号泣。
まさかそうなるとは。
この記事を書いているときに実際のBBC映像を観た、またしても号泣。
最後に
過去と現在を交互に、事実を丁寧に描いている。
人物の心情などはあまりなぞっていない。
凄惨な出来事もあまりなぞっていない。
ひとつひとつ事実を並べている感じ。
重くなり過ぎず、軽すぎず。
「ニコラス・ウィンストン」という人物が、何をして、どうなったのか、を丁寧に描いている。
とても良い作品。
こういった後世に残したい良い作品は、あまり人気が無い。
多くの人に観てほしいけど、少し残念だ。
コメント