この記事はネタバレを含みます。
まだ鑑賞していない方はご注意ください。
原作「SLAM DUNK」の最終回を迎えてから実に26年半を経ての映画公開であり、原作者の井上雄彦が自ら監督と脚本を務める。
この映画の存在を知ったのは2022年7月某日。
地元の映画館の廊下に予告映画として張り出されていた。
そして、2023年1月、最初の映画鑑賞がこの作品。
ワクワクを感じざるを得ません。
ロマンティックが止まらない。
あらすじ
キャプテン・赤木剛憲のワンマンチームだった、湘北高校バスケ部。
1回戦敗退が常の弱小チームだったが、桜木花道、流川楓、三井寿、そして宮城リョータの加入によって、全国レベルのチームに成長していく。
キャスト
神奈川県:湘北高校
名前 | 読み | ポジション | 声優 | あだ名 |
桜木 花道(1年) | さくらぎ はなみち | PF、C | 木村 昴 | はなみち、どあほう |
赤木 晴子(1年) | あかぎ はるこ | 応援(主に流川) | 坂本 真綾 | はるこさん |
赤木 剛憲(3年) | あかぎ たけのり | C | 三宅 健太 | ゴリ |
流川 楓(1年) | るかわ かえで | F、SF | 神尾 晋一郎 | ルカワ、キツネ |
三井 寿(3年) | みつい ひさし | SG、GF | 笠間 淳 | ミッチー、三っちゃん |
宮城 リョータ(2年) | みやぎ リョータ | PG | 中村 宗悟 | リョータ、リョーちん |
小暮 公延(3年) | こぐれ きみのぶ | SF | 岩崎 諒太 | メガネくん |
彩子(2年) | あやこ | マネージャー | 瀬戸 麻沙美 | アヤさん、アヤちゃん |
安西 光義 | あんざい みつよし | 監督 | 宝亀 克寿 | オヤジ |
秋田県:山王工業
名前 | 読み | ポジション | 声優 | あだ名 |
深津 一成(3年) | ふかつ かずなり | PG | 奈良 徹 | |
河田 雅史(3年) | かわた まさし | CF | かぬか 光明 | 丸ゴリ |
沢北 栄治(2年) | さわきた えいじ | GF | 武内 駿輔 | |
野辺 将広(3年) | のべ まさひろ | CF | 鶴岡 聡 | (トーテム)ポール |
松本 稔(3年) | まつもと みのる | G | 長谷川 芳明 | |
一之倉 聡(3年) | いちのくら さとし | G | 岩城 泰司 | |
河田 美紀男(1年) | かわた みきお | C | かぬか 光明 | 丸男 |
堂本 五郎 | どうもと ごろう | 監督 | 真木 駿一 |
THE FIRST SLAM DUNK
この映画は、オリジナル漫画を主軸にした「新しいスラムダンク」。
インターハイ「 湘北(神奈川) vs 山王工業(秋田) 」がメインストーリー。
山王戦は原作の中でも屈指の人気エピソードだが、本作までアニメ化はされていない。
90年代に放送されていたTVアニメは陵南戦で終了しており、インターハイ編は映像化されなかった。
そして、この映画は宮城リョータが主人公。
山王戦のストーリーはそのまま、宮城リョータをフィーチャーしたオリジナルストーリー。
漫画では表情豊かなキャラクターたち、アニメーション映画になると少し表情が硬くなる。
これは意図的なのだろうか?
現代人は「表情」と「感情」がイコールでは無い。
気持ちや感情を明確に言葉にしない、できない。
ゆえに、表情が乏しくなっている。
表情が乏しくなるということは、感情も乏しくなるのかもしれない。
自覚できない感情、感情を具現化できない表情。
無感情と無表情、こちらはイコールなのかもしれない。
音響体感プレミアムシート in お台場
2023年、最初の映画館は「ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場」。
2022年12月から導入された新しいシステム。
日本初!音響体感プレミアムシート【FLEX SOUND】。
通常鑑賞料金 + 200円 でこのシートで映画鑑賞できる。
体験して思ったのは、地元映画館「TOHO宇都宮」の4番スクリーン or 6番スクリーン に居るような感じ。
MX4Dの振動が、隣接するスクリーンに響く感じ。
あれ…震度1かな?くらい。
もしくは、ものすごい弱い微振動マッサージチェア。
「没入できる」と書いてあるけど、結局はシートに密着している背面部分に振動装置があるので、全身が振動する感じではない。
全身というなら、背面だけじゃなく前面も体感できたほうがいいんじゃないかな?
しかもこのシート、荷物を置くようなところは無い、不便だ…。
シートのヘッド部分にスピーカーが埋め込まれているので、頭をピッタリつけていないと機能の良さが出ない。
音の臨場感、というよりも、顔の周辺で音が漂って留まっている感じ、音の幕を顔にかけている感じ。
体の内部の中心、胃の内側から体外に向かって振動させて響く音ではない。
ざんねん。。。
外的振動ではなく、共振を求めているのね、私は。
爆音でガラスが割れるとか、そういうのが好みだと気付く。
だとすると、ドルビーシネマ or IMAX系が私には合っている。
音の正確さ
ボールの弾む音が明確に違う。
屋外用ボール
屋外コートで弾むボールの音。
耐久性を重視した「屋外用ゴムボール」。
コンクリートに弾む、高い音。
屋内用ボール
体育館で弾むボールの音。
室内用は皮のボール。
床板に弾む、低い音。
ボールの素材、地面の素材の違い。
音の使い分けをしている。
人物の描写
この作者、人物像を描かせたらピカイチだ。
筋肉の動きも見て取れるほど。
とくに、速いステップで選手間をすり抜けるドリブル、ものすごく上手い。
低い体制からドリブルしながらのダッシュ。
圧巻としか言いようがない、ゾクゾクした。
作者の描き方、たしか……あれは……NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で見た気がする。
作者は、人物を描く時、順番があるらしい。
骨格 → 肉付け(全裸) → 服を着させる
服を着ていない全裸の人物を描いてから、服を着させるそうだ。
それゆえ、服の上からでも体の動き・筋肉の動きがハッキリと分かる。
アニメーションというより、実写に近い感覚。
ボールの軌道
ボールがゴールリングに吸い込まれているように見える。
ボールの動きで「これは入る」「これは入らない」がわかる。
ボールの軌道が本当に美しい。
細かい所作
バスケ経験者のお客さんから教えてもらった話。
試合中、攻撃が終わって自陣に戻るときのこと。
後ろ向き小走りで自陣に戻るシーン。
あれは「バスケ経験者あるある」だそう。
ボールや相手選手の動きから目を離さずに自陣に戻る、という行動だとか。
なるほど。
重要ではないシーンを敢えて入れることで臨場感とリアルを生み出している。
宮城 リョータ
背の低いリョータにしかできないことがある。
2人張り付いたゾーンプレスをかいくぐって突破するリョータ。
彼の持つ身体能力とクイックネスは圧巻。
この時の作画があまりにもキレイで、思わず「うまい!キレイ!」とつぶやいてしまった。
※クイックネス→ 目や耳から受けた情報に反応して素早く動き出す能力のこと
三井 寿
「炎の男」三っちゃん。
三井の鮮やかな3Pシュート。
スウィッシュがキレイに聞こえる。
※スウィッシュ→ スウィッシュとはボールがリングに当たらずに入るシュートのこと、ボールが「スパッ」とゴールに通過する
- リョータが仲間の動きを「予測」してボールを投げる
- ミッチーが走っている
- リョータからのパスを「振り向きざま」に受け取るミッチー
- その流れからの3Pシュート
流れが完璧、本当に素晴らしい。
ダンクシュート
片手のダンクシュート、実は難しいらしい。
そもそもバスケットボールは大きいので、片手で掴むことは難しい。
一般的なバスケットボールの大きさは「7号」。
7号は「中学生以上の男性仕様」になっている。
- 直径:24.5cm
- 周囲:74.9~78cm
- 重さ:567~650g
- 素材:天然皮革、人工皮革、ゴム
これを片手で掴む桜木は、かなり手がデカいのだろう。
バスケのゴールの高さ(中学生以上の公式サイズ)は3m5cm。
ボールの大きさなどを含めると3m30~40cmの高さからダンクシュートすることになる。
身長170cm台だと自分の身長の2倍以上の高さを飛ばないと難しい。
しかも、ダンクシュートはボールをゴールリング内に押し込んでいるのではない。
もしボールをリング内に押し込んでいたら、手首がリングに当たって骨折してしまう。
そして、ボールは「指で支えているだけ」かつ「リングを掴む」ようにシュートしているのだ。
映画の中でも、ゴリ(赤木)の豪快ゴリラダンクを炸裂したあと、リングにぶら下がっている。
身震い
安西先生が身震いした有名なシーン。
漫画という静止画では表現に限界がある。
動画として見ると、安西先生の感情がよく分かる。
マジですごい。
あれは本当に鳥肌もの。
音の演出
後半も後半。
湘北が追い抜いたあたりから一気に加速する。
今までにないスピード感。
セリフやBGMは、ほぼ皆無。
あの有名な「無音」が見事に再現されている。
音楽
すべての音楽がものすごくかっこよかった!!!
BGMも、オープニング曲も、エンディング曲も、ぜんぶが鳥肌ものだった。
この映画のオープニング主題歌を「The Birthday」、エンディング主題歌を「10-FEET」が担当。
The Birthdayが歌う「LOVE ROCKETS」を含む新曲4曲が収録されている。
劇中音楽武部聡志と10-FEETのTAKUMAが担当、10-FEETのオリジナル音源全5曲が収められている。
聞こえない声
桜木の「左手は添えるだけ」は聞けなかった。
漫画では「無音の中、誰にも聞こえない小さなささやき」のセリフだ。
漫画では、大きなコマに桜木のドアップ、そこに小さく添えられたセリフで、文字のサイズで声の小ささを表現している。
映画では、桜木のセリフを無音にした。
これは意図的だろう。
メインは桜木ではなく、リョータだから。
どうしてもSLAM DUNKと言えば桜木花道になる。
それゆえ、漫画・アニメの展開を期待してしまうが、リョータをメインにした映画なのでこういった構成にしたのだろう。
一切の「音」が無くなると、自分の鼓動がいつも以上に音量を増しているように思える、不思議だ。
早くなる鼓動と共に、心音も大きくなっている、そんな錯覚に陥る。
試合後
エンドロールが終わると…新たな映像が流れる。
沢北が渡米。
アメリカで活躍する沢北が描かれている。
しばらく見ていると…!?
ハッとする。
目を見張るとはこのこと。
なぜ…彼が!?
ふと考える。
漫画では3年生になったリョータがバスケ部キャプテンになった。
沢北は山王戦後に渡米した。
先に沢北が行き、少し遅れてからリョータが渡米したのか?
何気なくYouTubeを見ていたらコレを見つけた。
なるほど、これなら試合後の展開に合点がいく。
スラムダンク奨学金
「スラムダンク奨学金」とは。
漫画家の井上雄彦が創設した奨学金制度のこと。
バスケットボールに取り組み、高校卒業後も競技を続けることを希望する高校生を対象とし、奨学生はアメリカの大学へ進学することを目的としたプレップスクールに派遣される。
おおむね高校卒業年の3月から翌年5月までおよそ14か月間行われる。
奨学生は3月に渡米してプレップスクールの寮に入り、9月から始まる学期に備え準備を行う。
スクールでは大学進学に必須となる学力や英語能力を身に着けると同時に、プレップスクール内のチームで競技力を上げ、大学進学を目指す。
第1回は2008年、最初の奨学生は「並里 成」(なみざと なりと)。
ポジションはリョータと同じポイントガード(PG)。
2009年に帰国しリンク栃木ブレックスと契約、プロ選手となる。
現在は群馬クレインサンダーズで活躍している。
我が栃木県のプロバスケチーム。
ピアス
「ピアス」という漫画をご存知だろうか?
知らない人の方が圧倒的に多い。
それもそのはず。
集英社「週刊少年ジャンプ」1998年9号、同社「週刊ヤングジャンプ」2001年49号に掲載された読み切り作品なのだ。
しかも、井上雄彦作品のどこにも収録されていない「幻の漫画」。
それがいま、読めるのだ。
この映画のメイキング本「THE FIRST SLAM DUNK re:SOURCE」に初収録されている。
小学生
私が座る席の1つ前の列、3つ右の席には、小さい子供が2人、男児と女児。
小学校低学年、1年生かな?
母親は、チケットでの再入場のやり方を教えただけで「じゃあ、映画楽しんでね(^▽^)」とその場を離れた。
は?一緒に観るんじゃないの?? おぅふ…。
ものすごく不安、そして的中。
めっちゃ喋るやん、特に女児。
自宅でテレビ見てるのと同じ、指さして話すし、飽きてくると両手を上にあげてるし。
この女児、おもしろいのが、回想シーンでは喋る。
確かに、小学生には難しいね、高校生の事情と心情は、ね。
逆に試合シーンでは惹き込まれるのか、無口になる。
あのジャイアントキリングのシーンでのこと。
花道のシュートが決まれば…、水を打ったように静まり返る大勢の観客。
女児は祈るように小声で唱える。
「入れ…入れ…」
きっと、まばたきを忘れて食い入るように見ていたことだろう、その場にいた全員が同じように見ていた。
試合展開と圧倒的画力で子供を魅了するなんて本当に凄いね、この映画は。
親子
前列左2つの席には、父・男子(小学4年生くらい?)・母が。
こちらもちょいちょい喋る。
まぁ、アニメ映画だから子供がいるのは分かるけど、基本的なマナーが守られないのはなんでだ?
スラムダンクは完全に子供向け映画ではない。
意外とスラムダンク世代ではない小・中学生が多いのに驚く。
てか上映前の注意で「話さない」って言ってるのにね、残念だなぁ。
THE FIRST
この「THE FIRST SLAM DUNK」
ここ最近よく聞く『〇〇ファースト』と同じなのだろうか?
某ホテル富豪は「アメリカ ファースト」。
緑の貴婦人は「都民ファースト」。
男性の紳士な振る舞いは「レディファースト」。
THE FIRST には「最初の」という意味もある。
誰かにとって、この映画が『初めてのスラムダンク』になるのだ。
先ほどの、前列右に3つの男児&女児。
この子たちにとって「初めてのスラムダンク」になる。
こんなにも惹き込まれて夢中になって観る映画に出会えて良かったね。
モラルやマナーは少しずつ覚えていこうね。
まずは、映画を観て、感情が動く体験をしよう。
それが情操教育だ。
最後に
スラムダンクのあとに観た「トップガンマーヴェリック(15回目)」。
こちらは大人がひどかった。
前列に6人の中年女性、多分50代。
入ってきて着席したときから、ニンニク臭い。
お隣の国の人は食事にニンニクをふんだんに使うのは知っているけど、それでも臭すぎ。。。
聞こえる言葉からやはり中の国と思われる。
上映前のひと時、座席に座ってスマホを取りだし、自撮り。
えっ、いま?
背後の人、写るやん。
ということでマスクしてるけど笑顔でカメラ目線してみた。
まぁ、いわゆるフォトボムっつーやつですわ、( ´∀`)ハハハ
エンドロールの真っ最中、普通にスマホを使っている。
てかエンドロールでFacebookのチェックするなよ。
注意事項を覚えてないのか?
それとも気にしてないのか?
自分がルールなのか?
いい年した大人が6人もいるのに、誰1人として注意しない。
エンドロールが終わって明るくなって席を立つと、6人の足元にはゴミ。
これは…ちょっと…民度を疑ってしまう。
中の国の人 = マナー最悪 という方程式が成立してしまう。
残念だ…。
席をひとつ開けて座る白髪の男性からは「昭和の整髪料」みたいな、独特な香りが漂ってくる。
キツイ思い出になってしまった。
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