好きな芸人さんがいる。
出会いは2020年、何気なくテレビを見ていると「生き霊が視える芸人」として出演していた。
小学3年生の頃、眠れない夜に自宅の3階のベランダから外を見ていると、向かいのマンションから男性2人が現れ、男性2人の殺人現場を目撃してしまう。
殺害された男性が死ぬ直前に目が合い、怖くなり部屋に戻る。
翌日、目が覚めて横を向くと、殺されて死んだはずの男性の霊が自分の目の前に。
それからトイレや風呂であっても四六時中ずっと一緒に生活することとなる。
ある日、父に「お前、それ自分でとれないのか」と言われ、父も霊が視える人だったことが分かる。
「とれない」と返すと「俺がなんとかしておくから、今日は寝ろ」と言われ、翌日目が覚めたら男性の霊は居なくなっていた。
はやともさんのインスタのライブで視聴者が「おすすめの映画ありますか?」とコメントを書くと、はやともさんは「マジでこれは観た方がいい!」と激推し(アーカイブ無し)。
それが【鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎】だった。
初めて明かされる、鬼太郎の父たちの物語
鬼太郎が誕生するより前の物語。
呪われた村で、運命の出会いをした鬼太郎の父親たち。
2人がそれぞれたどり着いた日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族の隠された秘密、鬼太郎誕生へと続く、「ゲゲゲの鬼太郎」6期シリーズのエピゾードゼロである衝撃作が、この秋誕生する。
キャッチコピーは「初めて明かされる、鬼太郎の父たちの物語」。
あらすじ
廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。
目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。
あの男との出会い、そして2人が立ち向かった運命について……。
昭和31年、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。
血液銀行に勤める水木は当主:時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ足を踏み入れた。
龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。
そんな中、村の神社にて一族の1人が惨殺される。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の始まりであった。
鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で2人が見たものとは……。
登場人物
昭和31年
2人の主人公
鬼太郎の父(ゲゲ郎) | 幽霊族の末裔 | 関 俊彦 | 風呂好きで涙もろい、生き別れの妻を何年も探している。古い仲間からの知らせにより哭倉村へ向かう。 |
水木 | 帝国血液銀行の社員 | 木内 秀信 | 帝国血液銀行で「龍賀製薬」を担当。誰からも踏みつけられない権力を手にするために、会社からの密命を胸に哭倉村へやって来る。 |
龍賀家
龍賀 時貞 | 龍賀家の当主 | 白鳥 哲 | 龍賀家の当主、太平洋戦争で大きく業績を伸ばした龍賀製薬の立役者。日本の財政界を牛耳る絶大な権力を持つが急逝。 |
龍賀 時麿 | 長男 | 飛田 展男 | 何年も人前に出てなかった。時貞の遺言により、龍賀一族の当主になる。 |
龍賀 乙米 | 長女 | 沢海 陽子 | 龍賀の家柄に強い誇りを持っている、水木の訪問を快く思っていない。 |
龍賀 丙江 | 次女 | 皆口 裕子 | 奔放な性格で、若い頃に男と駆け落ちしたが連れ戻され、酒浸りの自堕落な生活を送っている。 |
龍賀 孝三 | 次男 | 中井 和哉 | 時貞の葬儀には出席していない。 |
龍賀 克典 | 長女:乙米の婿 | 山路 和弘 | 水木の取引先である龍賀製薬の社長。亡くなった龍賀家当主・時貞からの信頼も厚く、跡継ぎの座を狙っているが、入り婿なので地位は低い。 |
龍賀 沙代 | 長女:乙米の娘 | 種崎 敦美 | 幼く儚げな少女、哭倉村から出たことがなく、東京へ強い憧れがある。 |
謎の少年 | 龍賀家の下働き | 古川 登志夫 | 龍賀家で働いている少年、どこか見覚えがあるような…。 |
長田家
長田(龍賀) 庚子 | 時貞の三女 | 釘宮 理恵 | 気が弱くて自分の意見をハッキリと言えない。親が決めた許嫁:長田と結婚する。 |
長田 幻治 | 庚子の夫、哭倉村の村長 | 石田 彰 | 村長としての信頼も厚く、村で何かあると筋骨隆々な男たちを扇動する。 |
長田 時弥 | 庚子の息子 | 小林 由美子 | 人懐っこい性格で好奇心旺盛、純粋無垢な幼子。体が弱く病気がち。 |
現代
鬼太郎 | 妖怪の少年 | 沢城 みゆき | ちゃんちゃんこ、リモコン下駄がトレードマークの少年。 |
目玉おやじ | 鬼太郎の父 | 野沢 雅子 | 鬼太郎の父が死後に目玉だけになった。 |
ねこ娘 | 鬼太郎の仲間 | 庄司 宇芽香 | ねこ妖怪。 |
山田 | 廃刊寸前の雑誌の記者 | 松風 雅也 | 鬼太郎の出生の秘密を追い、廃村となった哭倉村を訪れる。 |
映画館
入場者特典
2023年11月17日より入場者特典が配布されている。
※数量限定
入場者特典 第2弾
映画の大ヒットを記念して、入場者特典の第2弾が12月8日(金)から始まる。
※数量限定
現在・過去・現在の3部
現在
オープニングは「現在」から始まる。
廃刊寸前の雑誌記者:山田という男、鬼太郎&目玉おやじ&ねこ娘。
合計4人が登場する。
過去(昭和31年)
これを経て回想として「過去」が始まる。
水木、ゲゲ郎、龍賀一族、その他大勢の人が登場する。
現在(70年後)
過去を経て70年後の現在。
オープニングと変わらない人数だが、オープニングにはない「変化」がある。
4人と・・・。
X (旧 ツイッター)
オススメで流れてきた投稿。
こちらを読んでから映画館へ行ったので、ラストのシーンがよく理解できた。
昭和31年
1956年、昭和31年。
1945年の終戦から11年後。
何があったのか書き出してみる。
- エルヴィス・プレスリーが第6弾シングル「ハートブレイク・ホテル / アイ・ワズ・ザ・ワン」をリリース
- 牧野吉晴の小説を原作とした東映映画「電光空手打ち」が公開、同作で主演した高倉健が俳優デビュー
- 本で「自動車損害賠償保障法」(自賠責法)施行、自賠責保険の強制加入を実施
- 日本で出版社では初の週刊誌となる「週刊新潮」が新潮社から創刊
- モロッコがフランスから独立
- チュニジアがフランスから独立
- 日本道路公団設立
- 日本で初の人工心肺を用いた開心術成功
- 日本で水俣病第一号患者公式確認
- 日本の横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市の5市が初の政令指定都市となる。大阪府和泉市と奈良県桜井市が同時に発足
- エルヴィス・プレスリーがエド・サリヴァン・ショーに初出演、視聴率82.6%を記録する
- 大阪の通天閣が再建される
- 映画「哀愁の街に霧が降る」が公開、当作で端役で出演した菅原文太が俳優デビュー
- 『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)で、小島功の漫画『仙人部落』が連載開始(連載は2014年8月まで続き、連載期間57年11か月という数字は、2023年現在、日本漫画史上、最長記録)
- 日本が国際連合に加盟
- 新宿コマ劇場が開館(2008年12月31日閉館)
- 1956年の音楽
- 1956年の映画
- 1956年のテレビ (日本)
このとき生まれた人は2023年では67歳。
水木という男
作中の時代背景は1956年。
働き盛りの青年:水木。
この男性が作者である水木しげるであると仮定すると…。
水木しげる、1922年(大正11年)に生を受ける。
2015年(平成27年)に逝去、93歳。
2015年はいまから8年前(2023年現在)。
2023年も生存と考えると、御年101歳。
1956年(昭和31年)はいまから67年前。
作中では「約70年前」となっているので、2026年になる。
これらから考慮すると、作中の水木は34~37歳あたりになる。
仕事を順調にこなし、いろんな経験を積み、部下もできて、役職を与えられ、出世に意欲的で、善悪も判断できるけど私利私欲のために目をつぶることもできる働き盛りのお年頃。
帝国血液銀行
水木が務めているのは「帝国血液銀行」。
1952年4月、日本赤十字社東京血液銀行(通称)開設。
帝国血液銀行、いまでいう日本赤十字社のこと。
哭倉村(なぐらむら)
水木が務める会社の取引先である龍賀製薬。
そのトップであり、日本の政財界を裏で牛耳る龍賀時貞の訃報が飛び込んできた。
水木は、現社長である時貞の入り婿:龍賀克典に可愛がられており、会社からの極秘任務を胸に葬儀に出向く。
東京から夜行列車に乗り、更にタクシーを山奥に走らせ、山中にあるトンネルを抜けた先の湖の畔に、その村は存在している。
長い道のりを経て徐々に僻地へと進み、世俗から隔離されていく感じが強い閉塞感を与える。
自然豊かなその村は、自然と調和のとれた生活をしているように見える、とても美しい。
物語が進むにつれ、この美しい村は表情を変え、ほの暗さが立ち込める。
まさか、あんなことが起こるなんて…。
鬼太郎の父
銀髪で軽装&下駄、見るからに怪しい風貌。
水木と出会い「ゲゲ郎」というあだ名をもらう。
聞くと、何年も行方不明の妻を捜しに、この哭倉村にやって来た。
村を散策しながら妻を捜していると、事件が起きてしまう。
ゲゲ郎は、とある疑惑をかけられ捕らえられてしまう。
龍賀製薬
日清・日露戦争で名を知らしめ、太平洋戦争で大きく業績を伸ばした。
時貞は立役者である立志伝中の人。
立志伝中 | 若い時に、人に倍する努力と苦労を積み重ねて、事業などに成功し、社会的に認められるようになった人。 |
富の財源となっているのは「M」と書かれたアンプル。
血液製剤「M」
血液製剤「M」、この存在が龍賀一族に絶大なチカラを与えている。
それは「政財界における裏のドン」と言わしめるほどの影響力を持つ。
それは戦争で大活躍し、日本の復興でも活躍した。
水木は、その「M」の秘密を探ろうとしている。
裏鬼道
鬼道衆は、妖怪狩りのエキスパートであり妖怪ハンター。
幽霊族を狩りまくり、絶滅寸前に追いやった。
妖力封じを扱うものであるので、彼らに妖力は通じない。
禁域の島
村には大きな湖があり、禁域とされてる島が存在する。
そこは、龍賀一族でも限られた人しか入れない禁断の場所。
薄暗く、ジメッとした嫌な雰囲気が島をまとっている。
ここには何があるのか、なぜ安易に立ち入れないのか、その秘密は後半に明かされる。
因習
哭倉村は山の奥深くにポツンとある。
世間から隔離された要塞のよう。
コミュニティごとに独自のルールがあるのは理解できる。
生活環境や住人が変われば、ルールも変化するからだ。
以前観た「ウーマン・トーキング」の閉鎖的コミュニティに酷似している。
そのなかでも、この哭倉村は異質だ。
龍賀一族だけでなく、村人たちも異常だ。
徹底して部外者を拒み、常時監視している。
その異常さに、誰一人として気付いていない。
哭倉村の因習は、後半に明かされる。
その凄惨な外道っぷりに、吐き気がする。
狂骨(きょうこつ)
狂骨、この映画においてかなり重要キャラクター。
キャラクター?なんて言えばいいんだろう・・・。
狂った骨、と書いて狂骨。
鳥山石燕の妖怪画集「今昔百鬼拾遺」に登場する妖怪。
井戸に捨てられた死人の怨念が妖異になったもの。
白髪の生えた骸骨姿の者が、白い衣を纏った幽霊のように、井戸の中から釣瓶に吊られて浮かび上がった姿をしている。
狂骨が持つ膨大な怨念、それによって甚大な被害を生み始める。
後半の狂骨は・・・あまりにもむごたらしくて、涙をこらえ切れなかった。
霊毛
幽霊族は死ぬ時に「霊毛」と呼ばれる1本の髪の毛を残すという。
ゲゲ郎の左腕にある組紐(ブレスレット)は、この霊毛で編まれている。
「編む」ためには無数の霊毛が必要となる。
このことから、いついかなるときも御先祖様たちと共に生きている、そう思うと胸が熱くなる。
音の演出
音による演出が凄かった。
実写による録音と大差ない。
音に情報を持たせて、位置や場所、空間などの演出をしている。
そこが汽車のどこなのか、歩いて移動しているのか、それとも座っているのか。
室内なのか、屋外なのか。
狭いのか、広いのか。
響く素材なのか、吸収する素材なのか。
いろんなことが音でハッキリとわかる。
高度成長期と人の弱さ
戦後の昭和30年あたりは、高度成長期の始まり。
軍人教育が色濃く残っている。
「男たるもの強くあれ」
男は強くなければいけない、男性優位主義が横行していた時代。
弱い男を揶揄する言葉には「男の風上にも置けない」「女々しい」などがある。
さらにすごいのは「女の腐った奴」。
弱い女をさらに腐らせるなんて最上級の悪口、ひどいね。
もちろん、男は簡単に泣いてはいけない。
すぐ泣くと「女みたいにメソメソ泣くな」と言われる。
「女は弱い」ということを前提として作られている言葉。
これは体力や筋力などのパワーの弱さだけでなく、社会的立場や能力などの「人権的な弱さ」も含まれている。
逆に、弱いはずの女を強くする言葉もある、「男勝り(おとこまさり)」や「女だてらに」などがある。
戦争の生き残りである水木、「お国のために死ぬ」ことが良いとされていたので、生き残る=軟弱な男とされていた。
横井庄一さんの「恥ずかしながら生きながらえておりました」の言葉、いまならその重さがわかる。
行方不明の妻を探すゲゲ郎、この時代からすると「女の尻を追いかけている」と映るのだろう。
自身の野心と出世のために突き進む水木の目には、愛に生きるゲゲ郎はさぞ滑稽に映ったことだろう。
捕らわれたゲゲ郎
ゲゲ郎が捕らえられ、水木が救出に向かうあたりから物語は一気に加速する。
ものすごい勢いで「いろんな伏線の回収」と「いろんなことの解説」が始まる。
ものすごい速さで展開していくので、1回見ただけでは理解できないし、そもそも受け止めきれない情報量だ。
単純明快な善悪二元論的アニメでなく、心情や背景など大人向けの情報が多かった。
私自身、見落としているものが多々あった。
血液製剤「M」と利己主義
血液製剤「M」の製造方法が、かなりショッキングだった。
もしかして…と予想していたよりも遥かに胸糞悪かった。
こういった「一部の人間」にだけ「利益」をもたらすために「あらゆる他者」を「侮蔑する」ことは、けっこう身近にある。
侮蔑(ぶべつ) | 強く相手を見下すこと | 強い |
軽蔑(けいべつ) | 相手を見下すこと | 弱い |
侮辱(ぶじょく) | 相手を見下して恥をかかせること | 名誉を傷付ける |
【利己主義】、エゴイズムともいう。
映画を観ていて、これらがパッと思い浮かんだ。
- アルビノ狩り(アフリカ)
- インドの徹底したカースト制度
- 歴史に残らないように「そもそも存在していない」ことにする民族浄化
※ミステリと言うなかれ3巻「鬼の集い」 - アバター2「クジラの脳漿」
- 「外」から来た人に追いやられる先住民
- ウイグル自治区や植民地(奴隷地域)
- (元)ジャニ●ズ事務所の長年にわたるあの問題
- 子孫を残せないように品種改良された種
- カブトガニの青い血
利己主義者には罪悪感がまったくない。
悪いことをしているとは微塵も思っていないからだ。
むしろ「何が悪いの?」「なんで私が悪いの?」となる。
罪悪感が無いので、罪の意識も無い。
罪を犯している、とも思っていない。
なので非難されても反省すらできない、悪いことをしていると思っていないから。
以前観た「レッド・ロケット」の考察1に利己主義について書いてある。
利己主義と利他主義
はやともさんはYouTubeで「そもそも大人は汚いものだ」とか「資本主義がもたらす醜い争い」と言っていた。
私は、本来日本人が持つ【平和でみんな仲良く共存共栄を願う優しい精神】」を持っているのがゲゲ郎だけかな?と思った。
水木や血液銀行の人とか、龍賀一族やその親類など、ゲゲ郎以外の人は外国人的存在のように感じた。
自分が頂点に立つためならたとえ親・兄弟・身内であろうが殺しまくった歴史を持つ●国とか。
欲しければ奪えばいいさホトトギス的なヨーロ●パとか。
しかも、ゲゲ郎以外の外国勢は「それを正しい事」と考えているし「大義名分」であり「使命」でもあり「正義」だと考えている。
一部の人に利があるためなら、それ以外がどうなろうと構わない。
自分たちだけに生きる権利があり、その他の種族には生きる権利が無い。
戦争という経験を経て、利己主義に染まった水木。
ゲゲ郎と行動を共にすることで、見えなかったものが見え始める。
ゲゲ郎のまっすぐな愛に触れた水木は、少しずつ変わり始め、利己が利他へ変化していく。
利己主義 | エゴイズム・エゴイスト | 自分の利益や快楽だけを考えて行動することを至上とする考え方。自己の利益を重視し、他者の善行を軽視、無視する考え方。 |
利他主義 | オルトルイズム・オルトゥリスト | 自己の利益よりも他者の利益を優先する考え方。 自分のことよりも他人の幸福を願うこと。 愛他主義とも呼ばれる。 |
日本人が持つ精神:万邦共栄
私が師と仰ぎ尊敬しており、ありがたい話から雑談まで幅広くお世話になっている医師に尋ねた。
日本人とはどういう精神を持つ民族のことでしょうか?
おもしろい質問ですね。
逆に尋ねますが、あなたが思う日本人の精神とは?
自然や先祖を敬い、自分にも人にも優しく、手を取り合って、みんな仲良く平和。
つまり「共存共栄」であってほしいですね。
なるほど。
では、玉音放送を知っていますか?
終戦の詔書は、1945年8月14日の御前会議でポツダム宣言受諾が決定されたのを受け、発布された。
翌15日には、昭和天皇が詔書を読み上げた玉音放送がラジオで流れた。
医師は続けてこう言った。
これは大東亜戦争終結の玉音放送の一部です。
そもそも帝国臣民の康寧(こうねい)を図り、万邦共栄の楽(たのしみ)をともにするは、皇祖皇宗の遺範(いはん)にして朕の拳々(けんけん)おかざるところ。
西日本新聞「終戦8・15の記憶 玉音放送の全文<現代語訳付き>」より
万邦共栄は、共存共栄と言い換えてもOK。
凄いのは、みんなが栄えるだけでなく、栄えて豊かさを楽しむのを共にするということですね。
肌の色の違い、生まれ育った国の違い、異なる人種、異なる種族、すべての種族との共存。
万邦(ばんぽう) | すべての国、すべての人 |
共栄(きょうえい) | 共に栄える |
万邦共栄の中に「愛」がある、それが日本人。
共存共栄は愛。
目に見えない世界のこと
日本には「八百万の神」がいる。
この考え方は日本独自だと思う、一神教(ユダヤ・キリスト・イスラム)との大きな違い。
目に見えないものを身近に感じ、心から敬い、共に生き、共に栄える。
ゆえに、日本人は昔からスピリチュアルな精神や文化が浸透しているといえるだろう。
最近だと2010年(平成22年)、トイレにはそれはそれはキレイな女神様がいるとか。
日常生活におけるあらゆる場面で神様を感じる、スピリチュアルな日本人。
神様だけでなく、妖怪も身近な存在だ。
妖怪は怖い風貌をしているものもいれば、かさオバケ、アマビエ、座敷わらしなど可愛い妖怪もいる。
夜道に通せんぼする「ぬりかべ」、人をおどかすことが楽しい「のっぺらぼう」、寝ている人の枕を足元に置くイタズラをする「まくら返し」、ひたすらあずきを洗う「あずき洗い」とか、なんでそんなことするん?という妖怪もいて、とても愛らしい。
もうひとつ、目に見えないもの。
それは人の念(エネルギー)。
念 | 思い、気持ち、心配り、注意、かねての望み | 思考や感情をはじめとする、心中に抱いているもの、あるいは心のはたらき、などを広く指す言葉。 |
良い念(正の念)があれば、悪い念(負の念)もある。
良い念は良い念を、悪い念は悪い念を引き寄せる。
良い念 | 肯定的、積極的、楽観的、前向き、プラス思考、ポジティブ |
悪い念 | 否定的、消極的、悲観的、後ろ向き、マイナス思考、ネガティブ |
ポジティブな人は、周囲もポジティブが多い。
ネガティブな人は、周囲もネガティブが多い。
正の念を持って行動すると、その結果も良いものが多い。
負の念を持って行動すると、その結果も悪いものが多い。
負の念は、怨念や邪念なども引き寄せてしまう。
どんな意志を持って行動するのか、それによって結果は変化する。
これを業・カルマという。
業(ごう) | カルマ | 意志をもって行う行為とその結果 |
念は見えないエネルギー、持っている念と同じ念を引き寄せる。
以前観た「ぼくたちの哲学教室」の「自覚しにくい心」に基本感情8つについて書いている。
70年後の意味(一部ネタバレ)
70年後、村は壊滅していた。
事態を収めるために「ある人物」が「ある行動」するが、それでも収まらない「怨念」はさらなる禊を求めた。
あの村でもっとも罪のない、もっとも無垢なものが、最後まで「責め苦」を受け続けることで70年かかってようやくすべてが終わった。
責め苦(せめく) | 肉体的に責め苛(さいな)まれる苦しみ |
ショックを受ける鑑賞者続出
日本人なら知らない人はいないであろう国民キャラクターの1人である鬼太郎。
墓場から生まれた幽霊族の少年:鬼太郎が多種多様な妖怪たちと繰り広げる物語。
1954年の紙芝居から始まり、漫画、アニメ、映画、小説、ドラマ、ゲーム、舞台など、半世紀以上に亘って様々な関連作品が作られ続けている。
テレビアニメは1968年に第1期「ゲゲゲの鬼太郎」(モノクロアニメ)がスタート。
「人間に災いをもたらす妖怪」を鬼太郎が「人間の側に立って倒す」というストーリーが中心で、人間の味方、善の立ち位置にいる。
「(人間にとって)正義の味方」。
大人気シリーズとなった鬼太郎、第6期(2020年)まである。
多くの人が口にする「鬼太郎で、コレを、やるのか?!」、
勧善懲悪の鬼太郎シリーズで「こんな胸糞悪い話をするなんて…」とショックを受けている人が多い。
勧善懲悪(かんぜんちょうあく) | 善良な人や善良な行いを奨励して、悪者や悪い行いを懲らしめること |
内容そのものも胸糞ショックだが、鬼太郎というフィールドで胸糞ストーリーを作品化ことにショックを受けているようだ。
たとえば、同じような国民的キャラクターに置き換えてみよう。
日曜お茶の間ほのぼの「サザエさ●」で、この分配はおかしい!なんでこんなに手取りが少ないんだ!血で血を洗うまさに骨肉の争い、波平さ○の遺産相続問題、とか。
小学生のライフアドベンチャー「ドラえも●」、長年にわたる精神的・肉体的暴力を2人組から受け続けたことでメンタルを破壊された●び太が、完璧な証拠を用意した上で、ネコ型未来ロボットと優秀な弁護士と挑む最高裁、とか。
小学生のドラマティックエコロジー(生態)「ちびまる子ちゃ●」、まるこ突然の妊娠、相手はいったい誰?クラスメイトなのか、はたまた担任教師なのか、それとも父ヒロ○・・・、DNA鑑定の結果はいかに!?
こんな感じに、平和なフィールドに正反対のジャンルが飛び込んでくる、そりゃショックだろうね。
今回の作品内容のようなことは、歴史的に見ても結構ある。
私はこういった内容の創作物を見てきたので耐性があるゆえに、それほどショックは受けなかった。
ゲゲゲの鬼太郎:テレビアニメ(第3期)
子供の頃に見て鬼太郎といえば、第3期のアニメ。
鬼太郎の声優は戸田恵子さん。
ぬらりひょんの声が独特で、ものすごく印象に残っている。
のちにバック・トゥ・ザ・フューチャーのドク役:青野武さんと気付く。
この記事を読んでいるあなたは、何期の鬼太郎を見ていましたか?
最後に
いろんなシーンにおいて、かなりの情報量を持った作品だった。
一度見ただけではすべてを理解するのは難しいだろう。
2人の主人公だけでなく、すべての登場人物で「スピンオフ作品」ができるくらいの内容だった。
映画というより、テレビアニメでじっくりと丁寧に見せた方が、内容の凄さが伝わるんじゃないかな。
とくに、昭和を知らない世代に「戦争」と「昭和」を知ってもらうには、104分では足りないと感じた。
かくいう私も、それぞれの人物と背景をテレビアニメとして深堀りしてほしいと思った。
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